今までマイペースだった猫が、最近になって急に甘えてくるようになった、夜中に落ち着かずにうろうろするようになったと感じたことはありませんか?
こうした行動の変化には、年齢による心身の変化が関係していることが多く、猫がシニア期に入ったサインである可能性があります。
猫も人間と同じように年齢とともに身体機能や性格に変化が現れます。今回は、シニア猫に見られる行動の変化、甘えん坊になる理由、不安定な行動への対応方法などを詳しく解説します。
飼い主としてどのように寄り添い、ケアしていくべきかを知っておくことで、愛猫との時間をより安心で穏やかなものにしていきましょう。
シニア猫でよく見られる性格の変化とは?
- 今までより甘えるようになる
- 神経質になり、不安そうなそぶりを見せる
- 攻撃的になったり、怒りっぽくなる
- 夜鳴きをしたり、夜間にうろうろ歩き回る
これらの変化は、猫の老化が進むにつれて自然に現れることがあります。普段から一緒に過ごしている飼い主だからこそ、猫のちょっとした変化にも気づくことができます。
性格の変化に気づいたときは、無理に修正しようとせず、猫の気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
なぜ性格が変わるの?考えられる3つの理由
① 脳の老化・認知機能の低下
加齢による脳の変化は、猫の行動や性格にも影響します。特にシニア猫の場合、「認知機能不全症候群(いわゆる猫の認知症)」を発症することがあります。
これは、脳の老化によって記憶力や判断力が低下し、混乱したり不安になったりする状態です。
この状態になると、猫は理由もなく鳴き続けたり、家の中を目的もなく歩き回ったり、夜中に活動するようになることがあります。
また、トイレの場所を忘れて粗相をするなどの変化も見られます。これらの行動の背景には、脳の老化が大きく関係しています。
② 体の不調・慢性疾患の可能性
シニア猫には、関節炎や歯周病、腎臓病、心臓病など、さまざまな慢性疾患が発症するリスクがあります。
こうした病気によって身体に痛みや不快感があると、猫は落ち着かなくなったり、急に攻撃的になったりすることがあります。
特に関節痛は、高いところへ登るのを避けたり、移動を嫌がるといった行動に現れます。歯の痛みがあると、食事を嫌がったり、顔に触れられるのを嫌がることもあります。
これらは性格の変化のように見えるかもしれませんが、実際には体の痛みが原因になっていることが多いため、注意深く観察する必要があります。
③ 飼い主とのつながりを強く求めるようになる
加齢によって視力や聴力が低下し、猫自身が不安を感じるようになると、安心できる存在である飼い主に強く依存する傾向が高まります。その結果、急に甘えるようになったり、常にそばにいたがったりするようになります。
これは決してわがままになったわけではなく、猫なりに「安心感」を求めている行動です。甘えが強くなったときは、なるべく無視せずに優しく応じてあげることで、猫のストレスを減らすことができます。
猫の性格は飼い主次第?
猫の性格は、生まれ持った性質もありますが、それ以上に育った環境や飼い主の接し方に大きく影響を受けると言われています。
たとえば、小さなころから優しく接し、恐怖心を与えないように育てられた猫は、人懐っこく穏やかな性格になることが多いです。
逆に、大きな声や急な動きが多い環境で育った猫は、警戒心が強くなったり、人との距離を保とうとしたりする傾向があります。
猫との信頼関係は、一朝一夕で築けるものではありません。日々の積み重ねが大切であり、猫の性格形成において飼い主の役割はとても重要です。
猫の性格が変わる時期ってあるの?
猫の性格が変わるのは、特定の時期に集中する傾向があります。まず、子猫から成猫になる1歳前後は、活発な性格から少し落ち着いた性格に移行するタイミングです。
また、避妊や去勢手術を受けた後も性格が落ち着く場合があります。
最も大きな性格の変化が見られるのは、シニア期に入る7歳以降です。この時期になると、活動量が減ることで性格が穏やかになったり、逆に甘えん坊になったりする猫もいます。
猫の性格は一律ではなく、年齢、体調、生活環境など多くの要因に左右されるため、その時々の猫の状態に応じて接し方を変えることが大切です。
甘えが強くなったときの対処法
- スキンシップの時間を意識的に増やす
- 猫が安心できる生活リズムを整える
- 静かで落ち着いた環境を用意する
シニア猫の甘えは、愛情を伝える大切な手段です。特に不安を感じやすい夜間や飼い主の不在時には、落ち着ける場所や安心グッズ(毛布やお気に入りの寝床など)を用意してあげると効果的です。
落ち着かない・夜鳴きする場合の対策
- 夜間も安心できるよう常夜灯をつける
- 不安を和らげる音楽や香りを活用する
- 頻繁に健康チェックを行い、体調管理を徹底する
夜鳴きや落ち着かない様子が続く場合は、認知症や腎不全、甲状腺の異常などが関係している可能性があります。症状が慢性化する前に、動物病院での相談・検査を受けることをおすすめします。
老猫になると顔つきが変わる?
年を取った猫は、筋肉の張りがなくなったり、目の輝きがやや鈍くなったりと、顔の印象が変わってきます。表情がぼんやりしたり、毛並みにツヤがなくなったりすることで、全体的に「老けた」ように見えることもあるでしょう。
しかし、これは自然な老化のサインであり、猫が長年頑張って生きてきた証です。外見に現れる変化も優しく受け止め、定期的なブラッシングや健康管理で清潔に保ってあげることが、猫のQOL(生活の質)向上につながります。
老猫の「最期の予兆」とは?
猫は自分の最期が近いと感じたとき、静かに、そして穏やかに過ごそうとします。急に食欲を失ったり、トイレの回数が減る、隠れたがるなどの行動が見られるようになります。
また、普段はあまり甘えてこなかった猫が急にそばに来たがるようになるのも、予兆の一つとされています。これは「最後の時間を一緒に過ごしたい」という猫なりのメッセージかもしれません。
猫が死期が近づいたときに見せるサイン
- 食事・水をまったく摂らなくなる
- 反応が鈍くなり、動かなくなる
- 呼吸が浅く、速くなる
- 一人で静かな場所に移動し、じっとしている
これらの変化に気づいたときは、猫が安心して旅立てるよう、そっと寄り添うことが大切です。焦らず、静かに、猫の気持ちを尊重してあげましょう。
まとめ
シニア猫は、年齢を重ねるごとに性格や行動、体の状態にさまざまな変化が現れます。飼い主にとっては戸惑うこともあるかもしれませんが、その変化の一つひとつが、猫との絆を深めるきっかけになります。
体調や行動の変化に気づいたら、まずは優しく観察し、必要であれば医療機関に相談を。甘えや性格の変化を否定せず、穏やかに受け止めていくことが、猫にとって最大の安心になります。
これからも、愛猫とともにやさしい時間を重ねていきましょう。